「‘文化’資源としての<炭鉱>展」(目黒区美術館)

戦後社会の高度経済成長を支えた炭鉱を、視覚芸術はいかにとらえ、どのように表現し、現在にどのような炭鉱イメージをもたらしたのでしょうか。本展は、そのような炭鉱と視覚表現の歴史的な関わりを検証いたします。同時に、かつて‘地下’資源で繁栄した産炭地が、エネルギー政策転換などで経済的苦境にある現在、炭鉱などを主題にした美術をはじめとする視覚芸術の‘文化’資源化を提起します。‘文化’資源化による産炭地域の社会再生について、息の長い思考と取り組みを期待してのものです。さらに、石炭とその問題の表現を通じて、私たちを取り巻くエネルギーに対する考え方、姿勢などについて再考する機会ともなることを期待する企画です。

内容

「part.1 - <ヤマ>の美術・写真・グラフィック」(目黒区美術館1階・2階)は、油彩、日本画、水彩、版画、彫刻、素描、写真、ポスターなどグラフィックで構成されます。山本作兵衛筑豊炭鉱絵巻」、千田梅二「炭坑仕事唄板画巻」、三菱美唄美術サークル「人民裁判」、野見山暁治「廃鉱(A)」、池田龍雄「腕」、横山操「夕張炭鉱」、風間完青春の門」、吉増剛造「石狩シーツ」、岡部昌生「ユウバリマトリックス」、土門拳筑豊のこどもたち」、奈良原一高「人間の土地」、上野英信ほか編「写真万葉録・筑豊」(全10冊から)、本橋成一「炭鉱(ヤマ)」、1950年代の炭鉱のポスターなど、 約 60 作家による 400 余点の出品 により炭鉱と戦後視覚芸術の展開をたどります。

「Part.2 - 川俣正コールマイン・プロジェクト〜筑豊、空知ルールでの展開」(目黒区美術館区民ギャラリー地下1階)は、川俣正が1996〜2006年の10年間取組続けた「Coalmine田川」のプロジェクトを総括し、空知とドイツのルール地方での新プロジェクトを展望する、新作インスタレーション目黒区美術館区民ギャラリー全面を使用しての個展です。乞う、ご期待です。なお、11月4日〜6日の期間は、制作風景をご覧いただけます。

Part.3 - 「映像の中の炭鉱」は、ドキュメンタリーの映像作品を主にする、民間の映画館「ポレポレ東中野」(JR総武線東中野駅前)との共同企画です(公立美術館としては初めての試みと思います)。戦後間もなくから現在までの、炭鉱を主題にした劇映画、記録映画に加え、炭鉱会社・炭鉱労働組合の宣伝映画など、日頃、レンタルビデオ等で見ることのできない作品を中心に約10作品を、展覧会会期に合わせてプログラム上映いたします。

会期

Part.1 - <ヤマ>の美術・写真・グラフィック
Part.2 - 川俣正コールマイン・プロジェクト (※11月4〜6日は公開制作)
     2009(平成21)年11月04 日(水)〜12月27 日(日)・47日間
     月曜休館(ただし11月23日(月)は開館、24日(火)は休館)
     開館時間:午前10時〜午後6 時(入館は午後5時30分まで)
Part.3 - 映像の中の炭鉱
     2009年11月28 日(土)〜12月11 日(金) (※二週間限定開催)

「‘文化’資源としての炭鉱」展 プレスレリース(PDF形式:1.27Mb)