現代美術には「ある程度」クリティカルな思考が必要

連載 編集長対談3:小山登美夫(後編)

マーケットがあって、その中で美術は成立している。そこではある程度クリティカルな思考が必要です。だから単純にサブカルチャーだけをそのまま持ってくるのではなく、それを3捻りぐらいしないと作品としては成立しない。例えば、漫画家はストーリーを作らなくてはいけないけれど、村上隆さんの才能はそういうところにあるのではなく、彼が持っている漫画的な要素、アニメ的な要素をどうやって表現できるかってことに関して、いろいろな人と相談しながら、そのコアな部分を表現として残していくことができているのです。

小山さんの口から初めて語られるような内容ではありませんが、
作家ではなく現代美術を見る(買う)側としても作品の魅力や作家の才能を楽しむために非常に判りやすい物差しの一つだと思います。
もちろん、作家さんの性質によっては非常に有効なアドバイスではないかと。


重要なのは小山さんがあえて「ある程度」と言ってる点です。
行き過ぎてはいけません。大抵は残念な結果に終わります。