視覚的無意識

http://www.artgene.net/dictionary/cat74/post_378.html

批評家R・クラウスが同名の著書(MIT Press, 1993)で提起した概念。同書においてクラウスは、従来のモダニズム美術史を徹底的に批判し、その再構成を意図して「視覚的無意識」というオルタナティヴを提示する。主な論及対象は1920年代から1950年代の美術で、M・エルンストやM・デュシャンからJ・ポロックやE・ヘスへと至る系譜を整理したクラウスは、これらの作家が共通して妄想的な幻想を帯びたレディ・メイドのイメージを帯びていることを指摘、それをモダニズムの強度として読み替え、モダニズムをフォーマリズム批評の形式概念から解放しようとした。G・バタイユらの仏文学、あるいはJ・ラカンらの現代思想に多くを依存するする立論はいかにも「オクトーバー」派の論客らしいが、チャートを多用して「視覚的無意識」の知覚図を的確にマッピングしていることもあり、クラウスの議論は一定の説得力と支持を獲得した。

(via http://twitter.com/menkoina)